SpursLRのブログ

サンアントニオスパーズやNBAの事を書いています。

パウ・ガソルのバイアウト スパーズはガソルをどう活かそうとしたか

パウ・ガソルのバイアウトが正式発表。

バイアウト後は、プレイオフに向け優勝経験のあるベテランを求めたバックスと契約。 

 

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Pau Gasol is reportedly joining the Milwaukee Bucks after a buyout with the Spurs. (Getty)

 

今シーズンのガソルを見ている感じだと、正直プレーヤーとしてはもうかなり厳しい印象。ダークと同じく年齢による体の衰えを隠しきれず、ガソルは今のスピーディなNBAではさすがに苦戦を強いられていました。

 

個人的にはベテランも上手く使うことにはスパーズは長けているチームだと思っています。ガソルの衰えを見る一方で、その活かし方、模索の仕方を見ることが出来たのは、私のようなチームのファンにとっては興味深かったなあと思っています。

プレシーズンでは、ベテランはシーズン初めに体を動かした方が良いとのチーム内の意見 (ソース失念) からガソルは比較的長い時間出場していたし、シーズン中はスタートにおいていた時期もありました。チームとしてもガソル個人としてもチームにフィットするように模索していたのは伝わってきました。

特に今シーズン見られた形として面白いな〜と思ったのは、このブログでも以前書いたデンジャラス・シューティング・ラインナップでのガソルの活用です。スパーズのインサイドにはオルドリッジとパートルがいますが、ガソルはこの2人と比較すると、経験はもちろんながら何よりパスが本当に上手い。

ポポヴィッチも今シーズンの初めの方に、

“He’s a great passer, and they move really well around him,”

“He really does a good job with that second group, creating movement,”  

と発言しています。これは他の2人には全くないスキル。

シューティング・ラインナップは、簡単に言えば、4番まで全員シューターのラインナップに走れてリバウンドの強いパートルを加え、早めのペースからオフボールで動き回ることで3ptを決めまくる恐ろしい戦術です。実際このラインナップでリードをもたらした試合も多くありました。(上手くいかない事もあるし、ここ数試合使われていませんが)

基本はパートルなのですが、例えばオルドリッジが相手に対して優位に立てる場合 (インサイドのフィジカルが弱めのLALなど) には、パートルの代わりにオルドリッジを加えるラインナップを取っています。オルドリッジを止めるにはダブルチームが鉄則ですが、あまりに彼にやられすぎると相手はさらに深めのダブルチームを仕掛ける&ガードのDも気にしてしまうので、結果ディフェンスがオルドリッジの周りに引きつけられることで周りのシューターが光ります。ボールが動くし、実際このラインナップの時のオルドリッジは無理にアイソせず、パス優先のプレイが多いのです。

そしてこのラインナップにガソルを入れていたのも、何回か見られた形でした。そのパスセンスとシューターを活かすラインナップ。パスのうまいガソルにボールを集め、フリーになったシューターにパスを供給することでこのラインナップをさらに強力にしようという意図が見えました。イメージとしてはウォリアーズのデスラインナップで、ドレイモンド・グリーンのパスセンスと稀代のシューターの組み合わせというのが近いし似ています。実際は比べられるレベルで無いのはおいといて、ドレイモンドと違うところは、ガソル本人すら3ptを打てるために、ペリメーターでボールを保持してもサグ気味にされないことでスペースがさらに広がるということ。

 

この動画の3つ目のプレイ、0:25からのプレイが一例としてわかりやすいかな。これは本人が決めてますが。 

www.youtube.com

今シーズン、パウの活躍は少ないのであまり良い動画がない。この動画もパウのハイライトのくせにレブロンの同点スリーとか載せるんじゃないよ

 

まあ結局このラインナップを試したものの、実際はそんなに上手くいってませんでした。この動画にしてもレイカーズのディフェンスが悪い印象だし、シューティング・ラインナップ自体、そんなに起用されるものでも無いです。変にガソルを出すとパートルの時間が削られてしまって長期的にみれば良くないし、それだけで16 milは高い。

 

これを一例として、結果としては上手く行きませんでしたが、スパーズがシーズン中に彼を諦めずに、また彼自身もチームの為になる道を模索し続けていた様は見て取れたので、今回の決断は仕方無かろうと思っています。組織として出来る限りの事をやって、その結果厳しかったら仕方ない。その姿勢を感じ取ることが出来たことが嬉しい。

 経験と叡知だけは活かせるとは思いますが、正直今のスパーズは優勝を狙える位置ではないし、その経験をもっと活かせる&評価したのがバックス、という感じだと思います。 

人間として成熟している彼の評判が至る所から聞こえていたのも、プレイヤーとして厳しくも彼が今だに契約できる理由だと思いますし、オペラの話なんか本当にスパーズっぽくて良い選手だったと思います。2年前のプレイオフもガソルがいなければロケッツに勝つのは難しかっただろうし。

 

バックスでどれほど出場できるかわかりませんが、その素晴らしいキャリアがさらに良いものになるように願っています。